男前な彼女
第9章【A HAPPY NEW YEAR】
兄の威厳
「青春だねぇ……」
そうしみじみ呟いているのは笹岡さん。
今はバイトの休憩時間。
あのクリスマスから3日たった日のことだった。
「何がですか……というか、『青春』って言葉、好きですね……」
「だって、青春じゃん…お正月もあの子とすごすんでしょ?」
『あの子』とは、多分、今レジに近いテーブルに座ってコーヒーを飲んでいるであろう上牧のことだと思う。
上牧はあたしがバイトを始めたあの日から、頻繁にこの店に来るようになった。
笹岡さんは『いやぁ、売り上げがちょっとでも上がって嬉しいなぁ』なんて言って、喜んではいるが……
あたしにとっては大迷惑だ。
こんな姿で働いているところを、じっと見られるのは正直、恥ずかしい。
「『お正月も』……ですか」