男前な彼女
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「おまたせ!」
バイトが終わり、いつも通り待っていた上牧のもとへ走りよる。
クリスマスのときは、寂しさのせいか元気がなかった上牧も、今はもう その面影もない。
あたしとしても、上牧にあんな表情を二度とさせたくないから、気を付けたいと思う。
とにかく、今はいつも通りだ。
「今からお前の家に行くぞ!!」
「……はい?」
――いつも通り……
「…………」
また突然、何を言い出すんだ…。
「…な、なんで?」
「朝陽さんに、高槻咲夜一日貸出し許可をもらいに行く」
――むやみに漢字を並べるな!
というかその前に、言っていることの意味が分からない。
「いや、意味が分かんないんだけど……」
「行けば分かる」
上牧はそう言うと、あたしの腕を掴んで歩き始めた。
善は急げ、ということわざが今 思い浮かんだ。