男前な彼女




◇*.・゚.・゚.・゚.・゚

◇*.・゚.・゚.・゚





「おまたせ!」





バイトが終わり、いつも通り待っていた上牧のもとへ走りよる。





クリスマスのときは、寂しさのせいか元気がなかった上牧も、今はもう その面影もない。



あたしとしても、上牧にあんな表情を二度とさせたくないから、気を付けたいと思う。




とにかく、今はいつも通りだ。







「今からお前の家に行くぞ!!」


「……はい?」







――いつも通り……




「…………」






また突然、何を言い出すんだ…。







「…な、なんで?」


「朝陽さんに、高槻咲夜一日貸出し許可をもらいに行く」





――むやみに漢字を並べるな!





というかその前に、言っていることの意味が分からない。






「いや、意味が分かんないんだけど……」


「行けば分かる」




上牧はそう言うと、あたしの腕を掴んで歩き始めた。




善は急げ、ということわざが今 思い浮かんだ。










< 264 / 412 >

この作品をシェア

pagetop