男前な彼女
「さぁ、着いたぞ」
車が止まり、朝陽兄ちゃんはシートベルトを外す。
毎年、あたしたち家族はこの神社に来る。
夜の1時だというのに、人で賑わっている。
「はぐれないように、兄ちゃんと手ぇ繋ぐか?」
「もう子供じゃないし……」
「いいから、いいから」
朝陽兄ちゃんが手を握る。
――温かい……
ちょっと、恥ずかしいけど……
この年で兄ちゃんと手を繋いでるなんて……
「『はぐれないように』なんて言ってるけど、本当は手を繋ぎたいだけなんだよね?兄さん」
「うるせぇぞ、海」
「はいはい」