男前な彼女




「『誰だと思ってんの?』って…お前、傷だらけじゃん…」


「だーーーーー!!」




上牧は両手をぶんぶん振りながら、いきなり叫びだす。





「咲夜!お前、そういうことを何で軽々しく言うかなぁ!?」


「いや…でも事実だし……」


「分かってんのか?小説だぞ!口に出さなければ、俺がどんな姿かなんて分かんないんだ!」


「…………」


「きっと読者は『上牧君かっこいい~…』とか思ってたはずなのに!お前の一言で、俺が何回も屋根にのぼろうとして失敗したことがバレバレじゃないか!!」


「上牧…やっぱ2階まで来るのに苦労したんだな……」


「あぁー!墓穴を掘ってしまったー!」


「あんた…朝から騒がしいな……」





朝4時によくそんなテンションでいられるものだ。


ちょっと感心する。






「まぁ、そんなことはどうでもいいんだよ」




上牧は、こほん、とわざとらしく咳をする。














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