男前な彼女
どれくらい自転車で走っただろう?
一時間くらい?
上牧の後ろに乗って、
やっぱ自分の自転車で来た方がよかったんじゃないか、
と考えていたら、いつの間にか、小高い丘のような所に着いていた。
「……ここ…どこ?」
まだ辺りは暗く、よく周りが見えない。
上牧は自転車を止め、丘の一番高い所に座った。
「ここにでも座って、もう少し待ってろ」
そう言いながら、上牧は手で自分の隣をバシバシ叩く。
あたしも自転車からおりて、上牧の隣に座った。
もう一度『何をしにここへ来たんだ』と聞こうかと思ったが、上牧が『もう少し待ってろ』と言うんだから、聞かずに待つことにした。
「…大変だっただろ?あたしを乗せて一時間も走り続けるの」
「ああ。予想以上だった…」
ため息混じりに笑った。
「お、そろそろだぞ!」
「ん?」