男前な彼女
「す、すごい……」
「だろ?」
上牧は自慢気な顔をしている。
「あたし、こんな風に朝日を見たのなんて初めて……」
「うん。俺も初めて」
山の間から見える朝日はすごく綺麗で……
思わず釘付けになってしまった。
…朝日を見ながらも、朝日に照らされた上牧の顔をちらちら見ていたのは…
誰にも内緒。
「咲夜」
いつの間にか、上牧はこっちを向いて、あたしを見つめていた。
「な…何?」
――ちらちら見てたの…バレてないよね…
あたふたしているあたしをよそに、上牧はあたしの顎を親指と人差し指でくいっ、と上に向けさせる。
「え…ちょっと待て上牧!何する気だ…?」
「は?このシチュエーションだぞ。することなんて一つだろ?」
「待て待て待て。ここをどこだと思ってるんだ?公共の場だぞ!」