男前な彼女
「それでも、やっぱりメールぐらいくれたって…よかったじゃん……」
「何?寂しかった?」
「……」
上牧はさりげなく腰に手を回す。
「なんだよ……お前いつの間にそんなにかわいいこと言うようになったんだ?」
耳のすぐ近くに上牧の顔があって、息がかかる。
「今日はずっと一緒だから、たっぷりかわいがってやるよ」
耳元で低く囁く。
――あたし、耳元で話されるのダメなんだってばー!
肩の上に上牧が顔を乗せた。
「本当は俺だって、電話とかメールとか…会ったりとかもしたかったんだぞ……」
あたしを抱きしめる手に力が入る。
「でも新年最初に会うときは、電話よりメールより…中途半端じゃなく、ちゃんと会いたかったから」
上牧も、会いたいと思っていてくれたことが分かる。
――あたしだけじゃ、なかった。
会いたいと思っていたのは、あたしだけじゃなかったんだ。