男前な彼女
昨日、メールも着信もない携帯を見たとき、悲しくてしょうがなかった。
上牧のことだから、真っ先に携帯に連絡があると思っていたのに、実際には何もなくて……
不安でいっぱいになっていた。
でも、上牧も同じだった。
――嬉しい……
腰に回された手がごそごそ動く。
「ちょ……上牧…」
「大和」
「…え?」
「『大和』って、呼んで…」
そういえば、上牧のことを名前で呼んだことなんてなかった。
そう呼ぼうかどうか迷った時期がないわけではないが…
でも今さら、そんな…名前で呼ぶなんて!
「や、やだ……」
「何で?」
そんなの、恥ずかしいからに決まっている。