男前な彼女
--ガタン ガタン
ゆっくりと動く観覧車。
静かな空間に観覧車が動く音だけが響く。
橘さんは黙って窓の外を眺めている。
あたしも窓の外に目を向けた。
「今日は楽しかったよ。お礼とか言って、僕も楽しんじゃったな」
いつの間にか橘さんはあたしの方をじっと見ていた。
そして、「ははは…」といった感じで笑ってる。
「いえ!あたしも楽しかったので!」
目を合わせることが、どうしてもできなくて下を向く。
「そっか。それなら良かった」
また黙り込むあたしたち。
こんなに静かだと、かえって緊張する……
心臓の音が橘さんに聞こえちゃうんじゃないのかと思うぐらい、あたしの心臓は高鳴っていた。