男前な彼女




「『橘君を好き』っていうのが、咲夜の本音?」





そう問われて、あたしは思わず息をのんだ。







――分からない。









「上牧君のことは、もう何とも思わないの?」







――分からない……







「本当に、それでいいの?」





「だってっ、分かんないんだよ!!」





あたしはいつの間にか、涙を流しながら叫んでいた。







「もう何もかもっ、分かんなくて……っ」








大和があたしのことをどう思っているのか。





どうして、




こんなことになったのか……









あたしは、






誰のことを想っているのか――




















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