男前な彼女
「橘…さん……」
「隼人でいいよ」
「え……」
「橘さんなんて堅苦しい呼び方しなくてもいいでしょ?」
「……じゃあ…隼人…さん…」
「何?」
高鳴る心臓。
あたしは抑えきれない想いを口にしようとする……
「あたし……」
『ダメ』
あ……
「咲夜ちゃん…どうしたの…?」
「あ……あのっ!また来たいですね!ここに!」
私を抑えたのは…今まで大切に守ってきたもの。
あたし……何を言おうとしてたんだろう……
言ってしまったら、もう元の関係には戻れない…
この関係を、この想いを…大切にしたいから……
何も…言わないよ…
「うん……。また来たいね」
窓の外の夜景が、なんだか滲んで見えた……