男前な彼女
やられている二人を見て、南が満足げに笑う。
「はっはっは~!向かうところ敵なしー!」
あんた何にもしてないだろ……
と思ったが、口に出したら今度はこっちがやられるのでやめておいた。
「咲夜、ほら!なにぼーっとしてんの?早く行かないと!」
そうだった。
今は急がないと。
「ごめん!行ってくる!」
「絶対、逃がさないように!」
背中ごしに、南の声が聞こえる。
あたしは、それにこたえるように、親指を立てた右手を大きく掲げた。
それを合図にして、あたしは再び走り始めた――