男前な彼女
「こいつを手放す訳にはいかねーの」
そう言いながら、あたしの頭を撫でる。
嬉しくて…
嬉しくて……
涙が溢れていた。
「行くぞ、咲夜」
「え…?どこに…」
「皆のとこ!」
大和はあたしの手をしっかり握って、皆のもとへ走り始めた。
「大和っ…!止まりなさいっ!待てっ…」
「達彦【タツヒコ】さん!」
「…小百合【サユリ】……」
「お願い…自由にさせてあげて下さい。あの子たちを、見守ってあげたいの…」
大和のお父さんとお母さんの会話は…
嬉しさでいっぱいのあたしの耳には、とどいていなかった。