電子恋文

チャット

HNの欄に、『まりりん』と打つ。手慣れた様子で、チャットに入った。


マナミ:こん>まりりん

太郎:よーまりりん(^o^)/

さき:こん~☆>まりりん


『こん』とは、チャットでの挨拶用語で、『こんにちは』が略されたもの。



まりりん:皆こん(^O^)☆今、終業式から帰って来たトコ~



カタカタ、とキーボードを弾く。すると、すぐに返事が帰ってくる。


マナミ:お疲れ>まりりん

太郎:明日から夏休みか~イイナ!

さき:あたしは年中休みwなんせ主婦ですから(^_^)v






顔も知らない、声も知らない人たちと、こうして文字で会話する。これが、たまらなく楽しい。軽く人見知りな私。チャットなら、すぐに親しくなれる。だから、こんなにハマりこんでるのかな。




太郎:そいや、今日はヒコスケいねぇの?



「…ヒコスケ?」


聞き慣れない名前だ。


まりりん:ヒコスケって誰?


すぐに打ち込んだ。



太郎:そか、まりりんは知らないのか。いっつも、昼くらいに来る奴。昨日も来てたんだけどさ。


昼…その頃、私は学校だ。知るはずもないか。


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