ウソ★スキ
動物の檻の前で立ち止まり、話をしているうちに、

あたしたちはキラとソラとはぐれてしまった。

……ううん、きっとキラたちはわざと姿を消したんだ。


だけど、2人とはぐれても、

先輩は朝から同じペースで、

あたしに笑いながら話しかけてくれて、

あたしの歩調に合わせてゆっくり歩いてくれた。


「美夕ちゃん」

何度も先輩が、あたしの名前を呼ぶ。

「はい」

って返事をして、背の高い先輩を見上げると、

そこには1歳しか違わないとは思えないくらい落ち着いた、

オトナの雰囲気をした先輩の顔があった。


徹先輩の隣は、ものすごく居心地がよかった。


あたしは、先輩に告白したっていうのに、

まだその返事を聞いていないって言うのに、


全然緊張してなかった。


ドキドキも、してなかった…………。






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