ウソ★スキ
「……ん」
「……ちゃん」
「ねえ、美夕ちゃん、聞いてる?」
先輩の声にあたしはハッとした。
やだ……。
あたしったら考え事をしていて、先輩が何度も声をかけてくれていたのに気づかなかったんだ。
「大丈夫?」
優しい先輩は、心配そうにあたしの顔を覗きこんだ。
「疲れたんじゃない?俺、もしかして歩くの速すぎたかな」
「……大丈夫です。考えごとしてて……ごめんなさい」
「だったらいいけど。ちょっとあそこにすわって休憩しようか?」
先輩はあいているベンチを見つけると、あたしの手を取って続けた。
「話、したいこともあるし」