ウソ★スキ
先輩はあたしをベンチに座らせると、

「ちょっと待ってて」

と言い残して、少し離れた場所に見えている売店へと走って消えた。


あたしは、そんな先輩の、細くて背の高い後ろ姿をじっと見送った。





「仲良さそうじゃん」

ふいに、背後から聞き慣れた声。

振り返ると、そこにはソラが立っていた。


ソラは、あたしの方は見ずに、売店のなかを歩いている先輩を目で追いかけている。


「別に……。キラは?」

「トイレ」


そう言って、売店の横のトイレを指さした。



「先輩が優しいからそう見えるだけだよ。それに、仲良さそうって……ソラ達には負けるし」


あたしはまた前を向き直して、そう言った。




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