ウソ★スキ
「そんなこと、ソラには関係ないっっ!!」
あたしは思わず立ち上がっていた。
だけど、振り返ってソラの顔を見ることはできなくて。
レジで支払いをしている先輩の姿を見ながら、あたしは続けた。
「あの日あったことは全部忘れて!あたしも忘れるから!」
「美夕……」
「あんな傷、すぐに消えるし、ただの冗談でやってみただけだし」
「……」
「それを真に受けられちゃったら、あたしも困るんだよね!」
売店から先輩が出てくる。
そして、トイレからは、キラも……
助かった……。
あたしは、ソラに聞こえるように、大きなため息をついた。
2人が合流して、あたしたちの方へ歩いてくる。
あたしは頬を引きつらせながら、笑顔で2人に手を振った。
そのとき。
「俺は忘れないから」
ソラが、ぽつりと呟いた。
「絶対、忘れない」