ウソ★スキ
先輩は原チャリに座ると、メットをかぶる前にもう一度あたしに軽いキスをしてくれた。

そして、

「怖がらせちゃったらゴメン、ちょっと急ぎすぎたね」


あたしの頬に手を当てて、少し不安そうに聞いてくれる。


「もしかして……嫌いになった?」

あたしは何度も首を横に振った。

それは、嘘じゃなかった。


「よかった」

先輩はホントに嬉しそうに笑うと、メットを被って、

「また明日ね」

って言い残して帰って行った。




そして……。

先輩が見えなくなるまでその姿を見送った後、


あたしはその場に座り込んでしまった。




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