ウソ★スキ
「でもねー。なんか、昨日のソラって、激しかったんだ……」

「え?」

あたしの首に手を回したまま、キラは嬉しそうに続けた。


「いつもはすっごく優しい感じなのに、昨日は強引っていうか、荒っぽいって言うか。最初はそんなソラのことが、ちょっと怖くてね」


……ドキッと、した。


思わずソラに襲われそうになった時のことを思い出して、

あたしは生唾を飲み込んだ。


だけど、キラにはそんな動揺を気づかれてはいけない。


あたしは出来るだけ平静を装った。



「久しぶりだったから、ソラも理性を保ってられなかったんじゃない?」

「うん、そうなんだよねー。最中もずっと、しつこいくらい私の名前を呼んでくれて、愛してるって言ってくれたんだけど、なんか私に言うって感じじゃなくて、独り言みたいな感じでね……」

「……そうなんだ」

「うん。まあ、私の考え過ぎかも知れないし、そんな激しいエッチもたまにはいいんだけどねー」


キラはひとつため息をついた。


そして、

「でも、ちょっとだけ、昨日のソラは別人みたいだった、かな?」



そう言ったキラの表情が、ほんの一瞬だけ曇ったのを

あたしは見逃さなかった。



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