ウソ★スキ
「こっち」

そう言うと、

座席の真ん中に座っていたソラは、窓側にその体を移動させた。



……久しぶりに、ソラに名前を呼ばれた。

……久しぶりに、ソラと目が合った。

……久しぶりに……


あたしは、たったそれだけのことで、もう胸がいっぱいで。

思わず泣きそうになった。





ソラの顔は、決して笑っていなかったけど……


「危ないから、早くこっち来い」


その声は、とっても優しかった。





「うん……」

あたしは、ゆっくりとソラの座っている座席へと歩き出した。






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