ウソ★スキ
「ありがと……」

あたしはそう言いながら、ソラが詰めてくれた座席に腰掛けた。

だけど多分、その声は小さすぎて、ソラには届かなかったと思う。

ソラの反応はなかった。



……ソラが、ごっつい体格をしてなくて、助かったよ。


その座席は2人で座ると少し窮屈なくらいで。

あたしはソラの体に自分の体が触れないように、

体をめいいっぱい通路側に傾けた。



ソラは、窓の方を向いたままだった。

頬杖をついて、

やっぱりあたしのことを見ようとも、

何かを話しかけようとも、


してくれなかった。



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