ウソ★スキ
……やっぱり、立っていればよかったかも。


何の会話もないまま、じっとソラの隣に座っているのは

かなりの苦痛で。


あたしは、ずっと、膝の上においたカバンを見つめていた。

そして、心のどこかで、ソラが何か言ってくれるのを待っている……。


なんだか、自分がすごく惨めだった。



いつもの大きなカーブにさしかかると、

あたしの体が傾いて、一瞬だけどソラと体が触れあう。


「ごめん……」

思わず謝るあたし。



だけどソラは、窓の方を向いたまま、何も言ってくれなくて。



バスを降りるまで、あともう少し。

だから、泣くな、あたし。


あたしはバスが停留所に止まるたびに、何度も何度もそう自分に言い聞かせた。








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