ウソ★スキ
あたしたちの降りる停留所は、終点の車庫の3つ手前。


その頃には、バスの乗客はほとんど降車してしまっていて、

車内には、他に、数人残っている程度だった。


空席の目立つ座席。


席を移ろうと思えば、いつでも移れたはずなのに。

あたしは何故かソラの隣から動けなかった。


逃げ出したいのか、このままいたいのかよく分からない。



そして。


ようやく窓の外に見慣れた景色が広がり、バスはあたしたちが降りるバス停の手前まで辿り着いた。

……やっと、この緊張感から解放されるんだ。

あたしは、目の前にある、降車ブザーに手を伸ばした。







すると。

いきなり。



黙ったままのソラが、

あたしの手をぎゅっと掴んで、



ブザーを押すのを邪魔した。




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