ウソ★スキ
「待てっ!」

ソラの声は更に大きくなる。


だけどあたしはソラに追いつかれないように、必死に走った。


5メートル、

10メートル……


だけど、鈍くさいあたしがソラをふりきることなんて出来るわけがなくて。



気がつけば、あたしはソラに後ろから抱きしめられていた。


そのはずみに、あたしの手から傘とカバンが落ちる。


イヤだ。
そのカバン、防水加工してないのに…………


中の教科書やノートは無事だろうか?
それよりキラに借りたままのマンガは?

携帯は落ちたはずみで壊れたりしてないだろうか?



あたしはソラに抱きしめられて

訳わかんなくなりすぎて、



逆にそんな冷静なことしか考えられなくなっていた。




「そんなに急ぐなよ、バカ」

息をきらしたソラの声が耳元で聞こえる。




「……走ったりしたら、すぐ家に着いちゃうだろ」





その言葉に、

あたしの涙は止まらなくなって、



あたしはソラに後ろから抱かれたまま、

声を上げて、

ずっと我慢していた2週間分の涙を流した。










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