ウソ★スキ
しばらく、あたしとソラは黙ったまま夜道を歩き続けた。


見上げると、今夜の月は満月に限りなく近くて、

雲に覆われた夜空から、時々その顔を覗かせていた。


そんな月の光はやけに明るくて、

街灯よりも明るく、柔らかく、雨に濡れた道路を明るく照らす。


あたしは月が出ている隙に、

チラリと横目でソラの様子を伺った。



……ソラは、

あたしとほぼ同じタイミングで、

あたしの方を向いた。


その目はとても優しくて、あたしはドキッとしてしまう。



「すっ……」



すっ?

あたしは首をかしげてソラの次の言葉を待った。



「……げー、傷ついたんだからな」



ソラはそう言うと、


あたしに、


本当に久しぶりに笑顔を見せてくれたんだ……。









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