ウソ★スキ
バス停3つ分の距離って、意外に近い。

あたしたちは出来るだけゆっくり歩いたつもりだったのに、

気がつくと目の前には見慣れた「近所の風景」が広がっていた。



後ろから、原チャリが近づいてくる音。

あたしは思わず、ソラの手を離して後ろを振り返ってしまった。



……一瞬、先輩かと思ってしまった。



だけど。

走ってきたのは、見知らぬ原チャリ。

乗っているのは、スーツを着たおじさん。




その原チャリは、あたし達の足下の水たまりの中をスピードを落とさずに通りすぎていった。

泥水がはねてあたし達の足にかかる。


……気持ち悪い。


もしソラと一緒じゃなかったら、

多分あたしは、

今すぐにでも靴と靴下を脱ぎたくて、走って家に帰っていただろうな……。






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