ウソ★スキ
いつものようにバスに乗り込み、

並んで通路に立つ2人の背中を眺めながら、

あたしは昨日、ソラと歩きながら話したことを思い出していた。





『美夕は、いつもこんなに遅いの?』

『うん……雨の日は、バスが混んでるのが嫌いだから』

『あー、それ、俺も分かる。気持ち悪いよなー』


それは2週間ぶりの、ソラとの何気ない会話だった。



だけど、それまでと違うのは、あたしたちが手を繋いでいるということ。

そして、

ソラの手の親指が、ずっと、優しく、あたしの甲を撫で続けているということだった。


『ソラはいつもこんなに帰りが遅いの?』

『いや、今日は特別。俺、クラス委員やってんだけど、その委員会があったから』


ソラがクラス委員をやってるなんて、初耳だった。


『初めて聞いたよ、そんな話』

『そうだろうなー。そのことは、キラにも話してないし』


そう言うと、ソラはふうっとため息をついた。







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