ウソ★スキ
「このこと、旅行までにそれとなく先輩に話してみてくれる? もし先輩が引きそうだったら、そのときはうまくごまかしてね!」

キラは最後にそう言った。



──そしてあたしは。



それから何日も、先輩にこのことを話そうとしたけれど、

どうしても、言い出すことができなかった。



こんな大きな秘密を、あたしひとりで抱えているのは正直辛かったし、

先輩が知ってくれるのは心強かった。


だけど、

もしもこのことが広まったら?


先輩を疑う訳じゃないけど、

最近のキラの無用心な言動には、どうしても不安を覚えてしまう。



『美夕次第なんだよ、先輩がこの秘密を守ってくれるかどうかは』

あれ以来、夢の中にまで出てくるその言葉。


正直言うと、

あたしは怖くてたまらなかった。


まるでパンドラの箱を開けようとしているような……

そんな不吉な予感がしたんだ。


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