ウソ★スキ
「今……」




あたしは、どんどん小さくなっていくバスを見送りながら言った。


「今、まだ学校前のバス停なんです。さっきバスが来たんだけど、乗り遅れちゃって」




バスはもう、見えなくなっていた。




……これで、いいんだ。




──さっき。

『すみません、乗りません!』

あたしがインターホンに向かって頭を下げながらそう言うと、バスの扉はすぐに閉まってしまった。

そして、あっという間に動き出すバス。


その間、ソラはずっと窓越しにあたしを見ていた。


……そしてあたしも。


ずっと、ずっと。
その姿が見えなくなるまでずっと。

目で、ソラを追いかけていた。


ソラには、あたしが小声で言った言葉、伝わったかな。


「バイバイ」


って……。





< 224 / 667 >

この作品をシェア

pagetop