ウソ★スキ
それからあたしたちは、先輩の原チャリに乗って、家の近くの公園まで帰ってきた。

あたしがエンジンがかかったままの原チャリから降りて、先輩にメットを渡すと、

先輩は、

「時間が遅いし、本当なら美夕ちゃんの家の前まで送って行きたいんだけど」

ってあたしのことを気遣ってくれた。


だけど、あたしには、その言葉だけで十分で。

「大丈夫です、すぐそこだから」


「……そう?」

先輩は自分のメットの紐を結び直しながら言った。

「でも、少し残念だな。今度美夕ちゃんの家にも遊びに行かせて?」


……先輩は優しい。

あたしは、そんな先輩に大事にされて、本当に幸せ者だ。


時々、不安になるくらい……。



「ねえ、先輩」

「何?」

あたしは恐る恐る、ずっと気になっていた疑問を先輩に投げかけた。


「先輩は、本当にあたしなんかでいいの?」





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