ウソ★スキ
あれこれ考えながらお風呂に入ったせいだろう。

あたしは完全にのぼせてしまって。

部屋に戻った途端、ベッドに大の字になって倒れこんだ。


天井が回っている……。
頭がクラクラする……。


だから、机の上に置いていた携帯がうるさく鳴りはじめたっていうのに、あたしはなかなかベッドから動けなくて。

のっそりと身体を動かしてそれを手に取った時には、もう、着信音が途切れた後だった。


先輩からは、お風呂に入る前に電話とメールがあって、おやすみなさいの挨拶は済ませている。


──こんな夜遅くに、誰?


あたしは携帯を開いて相手を確認した。



「──え?」



そこに表示された名前は、『ソラ』だった。


そして、あたしが携帯を手に固まったままでいると、もう一度携帯が鳴り始めた。



今度の相手も、やっぱり、ソラだった……。



激しい眩暈がしたのは、長風呂のせいなのかな。

それとも、この煩い着信音のせい……?

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