ウソ★スキ
駅に着いたのは、待ち合わせ時間の20分前だった。
駐輪場に原チャリを止めて辺りを見回してみたけれど、まだキラとソラの姿はない。
「中で待とうか?」
そう言ってあたしの荷物まで持ってくれた先輩が入っていったのは、ベンチが3つ、コの字型に並べられただけの小さな待合室だった。
そこであたしが壁に貼られたバスの時刻表を眺めていると、先輩があたしの肩越しに顔を覗かせる。
先輩は、しばらく時刻表をじっと見つめると、
「次のバス、もう10分で着くね。あの2人はそれに乗って来るかな?」
って言いながら、さりげなくあたしの肩に手を回した。
なんだか、そんなささいな仕草にも、いつも以上にドキッとしてしまう……。
「うん、そうですね……」
だけど、ドキドキばかりしてもいられない。
あと10分。
その間に、先輩に2人のことを話しておかないと──。
だけど、あたしが勇気を振り絞って口に出した「あのね……」っていう小さな声は、
先輩の次の言葉にかき消されてしまった。
「今朝、苑からイヤミを言われたよ、自分たちだけズルいって」
「……え?」
思いがけず出た苑ちゃんの名前に、あたしの体はこわばってしまった。
駐輪場に原チャリを止めて辺りを見回してみたけれど、まだキラとソラの姿はない。
「中で待とうか?」
そう言ってあたしの荷物まで持ってくれた先輩が入っていったのは、ベンチが3つ、コの字型に並べられただけの小さな待合室だった。
そこであたしが壁に貼られたバスの時刻表を眺めていると、先輩があたしの肩越しに顔を覗かせる。
先輩は、しばらく時刻表をじっと見つめると、
「次のバス、もう10分で着くね。あの2人はそれに乗って来るかな?」
って言いながら、さりげなくあたしの肩に手を回した。
なんだか、そんなささいな仕草にも、いつも以上にドキッとしてしまう……。
「うん、そうですね……」
だけど、ドキドキばかりしてもいられない。
あと10分。
その間に、先輩に2人のことを話しておかないと──。
だけど、あたしが勇気を振り絞って口に出した「あのね……」っていう小さな声は、
先輩の次の言葉にかき消されてしまった。
「今朝、苑からイヤミを言われたよ、自分たちだけズルいって」
「……え?」
思いがけず出た苑ちゃんの名前に、あたしの体はこわばってしまった。