ウソ★スキ
そんなあたしたちに先に気付いたのはキラだった。


キラはあたしたちを見つけると、無邪気な笑顔で大きく両手を振ってきた。

あたしも、そんなキラに手を振り返す……。


そして、キラがソラに一言、二言話しかけると、2人はゆっくりとこちらへ歩き始めた。



「……美夕ちゃん、辛かったんじゃない?」

「えっ?」


あたしは思わず先輩の方を向いた。


「そんな秘密を、一人でずっと抱えてたんだ」


先輩の声はとても穏やかで、優しかった。




……だけどね。

気付かなかったほうが幸せだったのに。

あたしは、2人を見つめる先輩の顔が一瞬だけ変わったのを見逃さなかったんだ。




先輩は、目を細めて、鼻に横ジワを作って、口を半開きにして。



──それは、隠そうとしても隠し切れない、嫌悪の表情だった。




< 250 / 667 >

この作品をシェア

pagetop