ウソ★スキ
先に待合室に入ってきたのは、キラだった。
キラはいつもと変わらない……ううん、いつもより更に眩しい笑顔で、
「おはようございますっ!」
そんな元気な声を狭い待合室に響かせた。
そして、その後ろからすぐに、ソラも入って来る。
ソラはまず、先輩だけに「おはようございます」って礼儀正しい挨拶をした後、
あたしには、その表情をすっかり無愛想なものに変えて、こう言った。
「……はよ」
……別にいいんだけどね。
最近のソラはずっと、こんな感じだし。
だけど……。
昨日の夜、あんな意味不明な電話をかけてきたっていうのに、ソラはそんなことをみじんも感じさせないいつも通りの様子で。
……あたしは、そんなソラの態度にひとり戸惑っていたんだ。
(ねえ、昨日の電話って、なんだったの?)
昨夜から、今日ソラに会ったらまず最初にそう尋ねようと心に決めていた。
……だけど、いざソラを前にしたあたしの口から出たのは、今にも消えそうな
「……おはよ」
という言葉だけで。