ウソ★スキ
笑顔の裏側
目的のペンションまでは、電車を2本乗り継いだ後、さらにバスで長時間山道を揺られないといけない。

朝出発しても、休憩や乗り継ぎの時間を考えると、到着するのは夕方近くになる予定だった。


最初に乗ったのは、この近辺で一番大きな中心駅へ向かう電車。


車内はほどよく混んでいて、あたしたちは、キラとソラ、あたしと先輩の二手に分かれて通路に立った。

「美夕ちゃん、荷物貸して?」

先輩が、あたしの重いバッグを軽々と持ち上げて、頭上の網棚に載せてくれる。


あたしはバッグが重すぎて網棚から落ちないか心配だったけど、下から見上げたバッグは電車が揺れてもビクともしなくて、ホッとした。


そんなあたしの様子を隣で見た先輩は、

「大丈夫だよ」

って、面白そうに笑っていた。


「……あたしの考えてたこと、分かりました?」

「うん、美夕ちゃんは思ってることがすぐに顔に出るから」

「えっ?」


自分ではよく分からないけど、そうなのかな……?



ほかの乗客が邪魔をして、あたしの位置からキラとソラの姿を見ることはできない。


……だけど、それでよかったのかも。


「少しずつだけど、美夕ちゃんのことが分かってきた気がするよ」


あたしは、自信たっぷりにそう言う先輩に、すっかり自分の心を見透かされそうな気がしていた。





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