ウソ★スキ
窓の外に映る景色が、次第に見慣れないものに変わっていく。

ビルや色とりどりの看板のかわりに映し出されるのは、木々だったり山に囲まれたトンネルだったり。

少ない乗客の話し声もほとんど聞こえない車内は静かで、ただガタンゴトンという、車輪がレールの継ぎ目を通過するときになる音だけが響いていた。



そこは、いつもの日常とは違う「異空間」だった。


ここは、誰も、あたしたち──キラとソラの関係──を知っている人がいない場所。


そんな景色を見ながら、キラもあたしと同じようなことを感じたみたいで。


「ねえ、ソラ! ちょっと車内を探検しにいかない?」

そう言うとキラは、あたしたちの目の前で、ソラの腕に自分の腕を絡めた。


「喉が渇いたんだけど、販売機ないのかな? 行ってみようよ」


だけどソラはどこか不機嫌そうな表情で。

「そのうち車内販売が来るよ」

って、決して動こうとはしなかった。




……なんとなく、気まずい雰囲気。







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