ウソ★スキ
「うん……」

「先輩がそう言ったの?」

「うん。この前の動物園も、キラが苑ちゃん経由で先輩に声をかけたって聞いたよ?」


すると、キラは何がおかしいのか、声をあげて笑い出した。


「やだなぁ、もう! 先輩ったら大げさなんだから」

「……違うの?」

「違うよ-。確かに苑ちゃんとはずいぶん前にバスで一緒になって、メアド交換したけど……」

キラはしばらくうーんって考えた後、続けた。

「……何となく連絡とりそびれて、それっきりになっちゃったんだよねー。それで、この前ソラと『先輩を動物園に誘おう』っていう話をしたときに、そのことを思い出してメールしたのが最初で最後!」


「バスで会ったのは最近じゃないの?」

「ううん! もうずいぶん前だよ。いつだったか覚えてないくらい前」


「……先輩は、今でもよくメールしてるって言ってたよ?」

「相手は私じゃないよ-。苑ちゃん、彼氏でもいるんじゃないの? だけど心配性の先輩には内緒にしておきたくて、思わず私の名前を出しちゃったとか」


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