ウソ★スキ
それから。

あたしと先輩は、駅のコインロッカーに荷物を詰め込んで身軽になってから、駅を出た。


そんなあたしたちの少し前を、それまでどうしていたのか、キラとソラが歩いている。


だけど、はしゃぎながら目の前を歩いているカップルが邪魔になって、チラチラと見え隠れする2人がどんな表情をしているのかなんて分からない。


でも、ケンカはしてなさそうだ……。

良かった……。



あたしは、そんな2人に気を取られすぎていた。


「美夕ちゃん、危ない!」

先輩の声にハッとして立ち止まると、ちょうど目の前の信号が赤に変わったところで。

あと一歩で車道に飛び出していたあたしのすぐ目の前を、勢いよくタクシーが横切っていった。


「あ……」

赤信号に、全然気付かなかった……。


「ボーっとしてたら危ないよ」

隣に並ぶ先輩の手が、自然に、あたしの手に伸びてくる。

「一緒に歩こう」

先輩はそう言って、あたしの手をぎゅっと握った。


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