ウソ★スキ
「美夕ちゃん、香水変えたんだね」

信号待ちをしながら、先輩があたしにそう言った。


……そうなんだ。

あたしは最近、キラに貰ったムスクの香水を全然使っていなかった。

そして、前から使っていたフローラル系の香水に逆戻り……。

それは、名前に「ベビー」って言葉がつくくらい、甘くかわいらしい香りだった。


「はい。……あれは、私にはやっぱり似合わない気がして」

「うーん。確かにちょっと背伸びしてた感じだね。あれはあれでいい香りだったけど」


見上げると、すぐ目の前に穏やかな表情をした先輩の顔。


「でも、こっちのほうが美夕ちゃんらしくて、俺は好きだな」


先輩はそう言いながら、さらにその綺麗な顔を近づけてきた。




……このまま、キスされる。




どうしてだろう?

分からないけど、あたしはその瞬間、思わず下を向いてしまった。














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