ウソ★スキ
「通学に同じバスを使ってるんだから、一緒になることだってあるだろうしね。……それでソラにヤキモチを妬くほうがどうにかしてるよね」

そう言う先輩は、まるで自分自身に言い聞かせているようだった。


だけど、そんな穏やかな顔に、

電車の中でソラを睨みつけていた険しい顔が重なる。



……やだ。あたし、どうしちゃったんだろう。


次から次へと頭が痛くなるような問題が起きて、

今、あたしの頭はグチャグチャで、全然整理できてなくて。



「何より、ソラにはキラちゃんがいるんだから、心配することなんてないよね」


だから、無防備で。

そんな分かりきっている言葉さえ、胸にグサリと刺さって。


「俺、美夕ちゃんのこと信じてるから」


──ダメだ、あたし。

今、自分の気持ちを全然コントロールできない。



「あたし……トイレに行ってきますね」


そう言うとあたしは、先輩から逃げるように、お店の一番奥にあるトイレへと走った。



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