ウソ★スキ
だけど、目の前のソラは、決してその表情を崩さなかった。

そして、ドアでぶつけてしまったのか、少し痛そうにその腕をさすりながら言った。


「俺、別にからかってなんてないよ?」

「そんなのウソ! ……あたしがソラを好きだなんてウソをついたから……だから、仕返しのつもりなんでしょ?」

「違う!」


そう言うと、ソラの手があたしの頬に伸びてきた。

だけどあたしは、そんなソラの手を強く叩いて、触れられることを拒絶した。

「やめて!」


涙で視界がにじむ中、あたしはキッとソラを睨みつける。


だって……

そんな言葉、信じられるわけないじゃん。


だって……


だって……!




「ひどいよ、ソラ。そんなこと言いながら、その手でキラを抱くくせに!」



あたしは、泣きながらそう叫んだ。



「ソラにはキラがいるじゃない!」





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