ウソ★スキ
目眩が、した。



……何? どういうこと?



あたしは必死に自分の記憶を辿った。

たしか、あれは、あたしがキラに頼まれて、「しない理由」をソラに聞きに行ったときのことだった。

あたしがソラに、思い出すだけで吐き気がするようなひどい言葉を投げつけた、あの時……。


たしかに、ソラからそのことは聞かされていた。


だけど……。



「ウソ……」

今度は、あたしが後ずさりする番だった。



「だって……あの次の日、キラは嬉しそうにしてたよ? ソラとうまくいったんだって……あたし、キラにお礼まで言われて……」


だけど、あたしが一歩下がると、ソラがまた一歩近づいてきて、いつまでたってもあたしたちの距離が開くことはない。



「そう、あの日の夜だったよ、キラともう無理だっていう話をしたのは」



ソラはあたしをじっと見たまま、淡々と続けた。


「だけど、キラに泣かれたんだ。あまりにも自分が惨めだから、美夕にだけは本当のことを言わないでくれって」


……キラの泣き顔が目に浮かんで、あたしの胸をぎゅっと締め付ける。


「……俺も、美夕のことが気になるからなんて、本当の理由は言えなかったし、キラの気が済むならと思って、キラの好きにさせたんだ」




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