ウソ★スキ
見上げると、すぐそばに先輩の顔。
その顔は、当然だけど強ばっていて。
……だけど、ここで目をそらしちゃ駄目だ。
あたしは、自分の姿が映っている先輩の瞳を真っ直ぐ見つめながら言った。
「あたし……先輩に言わないといけないことがあるんです……」
「それって、もしかして、さっき俺が言っていたことと関係あるの?」
さっき言っていたこと──。
あたしはトイレに逃げ込む前の先輩の言葉を反芻した。
──苑が、言うんだ。
──『美夕ちゃんのこと、ソラにとられちゃうよ。あの2人はお兄ちゃんに隠れて会ってるんだから』って。
──ソラにはキラちゃんがいるんだから、心配することなんてないよね。
あたしは、口の中に溜まった気持ちの悪い生唾をぐっと呑み込むと、先輩に頭を思いっきり下げた。
そして、頭を下げたまま、言った。
「ごめんなさい! あたし──」
その時だった。
「先輩、美夕、急いで-! バスが出ちゃうよ!」
あたしの言葉は、
下りエスカレータを駆け下りてきたキラの叫び声にかき消されてしまった。
その顔は、当然だけど強ばっていて。
……だけど、ここで目をそらしちゃ駄目だ。
あたしは、自分の姿が映っている先輩の瞳を真っ直ぐ見つめながら言った。
「あたし……先輩に言わないといけないことがあるんです……」
「それって、もしかして、さっき俺が言っていたことと関係あるの?」
さっき言っていたこと──。
あたしはトイレに逃げ込む前の先輩の言葉を反芻した。
──苑が、言うんだ。
──『美夕ちゃんのこと、ソラにとられちゃうよ。あの2人はお兄ちゃんに隠れて会ってるんだから』って。
──ソラにはキラちゃんがいるんだから、心配することなんてないよね。
あたしは、口の中に溜まった気持ちの悪い生唾をぐっと呑み込むと、先輩に頭を思いっきり下げた。
そして、頭を下げたまま、言った。
「ごめんなさい! あたし──」
その時だった。
「先輩、美夕、急いで-! バスが出ちゃうよ!」
あたしの言葉は、
下りエスカレータを駆け下りてきたキラの叫び声にかき消されてしまった。