ウソ★スキ
あたしたちの元へ駆け寄ってくるキラの後ろには、ソラもいた。


……さっきまであんなに近くに感じたのに、今はもう、ソラが遠くて。


「ほら、急ごう! これに乗り遅れちゃったら、晩ご飯に間に合わないんだから」


キラは、あたしと先輩の手が重なっているのに気付くと、目を細めて笑った。


「あれ? お邪魔だった?」

「そんなんじゃないよ、先輩が電話かけようとしてたから……」

「ハイハイ。……残念だけど、続きはバスの中でやってね」


キラはあたしの話を聞き流すと、

「ほら、美夕は歩くのが遅いんだから、走るよ!」

って強引にあたしの手を取って、お店を飛び出した。


走りながら、後ろにいる先輩とソラに「二人も急いで!」って声をかけるキラ。



あたしの手をぎゅっと強く握るキラの手はとっても温かくて……。



あたしは走りながら、どうしようもなく泣きたくなってきた。











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