ウソ★スキ
あたしが窓側に座ると、その隣に先輩も腰掛ける。
だけど、あたしたちの間にはほんの少し距離があって。
それはわずか拳ひとつ分くらいの「隙間」だったけれど──
今のあたしにとっては、どんなに手を伸ばしても先輩には触れられないんじゃないかと錯覚してしまうくらい、先輩を遠くに感じる距離だった。
あたしたちが座るのを待っていたかのように、バスはすぐに走り出す。
最初は、あたしも先輩も黙っていた。
もちろんいっぱい走って疲れていたと言うこともあるけれど。
だけど、間違いなくあたしたちの間には気まずい空気が流れていて。
あたしたちは一番後ろから、座席が乗客で半分ほど埋まった車内をじっと眺めていた。
……ソラは、キラとあたしたちよりずいぶん前方に座っていた。
だけど、2人は一度もこっちを振り返ろうとしない。
そんな中、先に口を開いたのは先輩のほうだった。
「キラちゃんは、知ってるの?」
それは、落ち着いた声だった。
あたしは何度も首を横に振った。
「あたしたちのこと、疑ってるかも知れないけれど……。でも、何もないんです。あたしたち、本当に、何も……」
先輩の顔を見ることが出来なくて、あたしはキラとソラの背中をじっと眺めながらそう呟いた。
だけど、あたしたちの間にはほんの少し距離があって。
それはわずか拳ひとつ分くらいの「隙間」だったけれど──
今のあたしにとっては、どんなに手を伸ばしても先輩には触れられないんじゃないかと錯覚してしまうくらい、先輩を遠くに感じる距離だった。
あたしたちが座るのを待っていたかのように、バスはすぐに走り出す。
最初は、あたしも先輩も黙っていた。
もちろんいっぱい走って疲れていたと言うこともあるけれど。
だけど、間違いなくあたしたちの間には気まずい空気が流れていて。
あたしたちは一番後ろから、座席が乗客で半分ほど埋まった車内をじっと眺めていた。
……ソラは、キラとあたしたちよりずいぶん前方に座っていた。
だけど、2人は一度もこっちを振り返ろうとしない。
そんな中、先に口を開いたのは先輩のほうだった。
「キラちゃんは、知ってるの?」
それは、落ち着いた声だった。
あたしは何度も首を横に振った。
「あたしたちのこと、疑ってるかも知れないけれど……。でも、何もないんです。あたしたち、本当に、何も……」
先輩の顔を見ることが出来なくて、あたしはキラとソラの背中をじっと眺めながらそう呟いた。