ウソ★スキ
「……こんなとこじゃ話せないよ、今夜ゆっくり話そう」
先輩が、あたしの方を見て、ため息混じりにそう呟く。
だけどあたしは先輩と目を合わせられなくて。
それでも「今夜」という単語に敏感に反応して、思わずビクッと体を引きつらせてしまった。
「心配しないで、話をするだけだから。……それに、俺だって気持ちを整理する時間が欲しいからね。だから、そのくらいの時間をくれても良いと思うけど、どうかな?」
「……分かりました」
そうして再び、あたしたちは黙って目の前の2人を見つめた。
キラは体をソラの方に向けて、嬉しそうに何かソラに語っている。
それに対して、ソラは前を向いたままで……。
「美夕ちゃんは、いいの?」
「え?」
「キラちゃんから、ソラを奪う覚悟があるの? 親友だって失うことになるかも知れないんだよ?」
「…それは」
あたしは、言葉に詰まってしまった。
耳元で、先輩が「ふぅー」って大きなため息を吐く。
「そんなことになったら、キラちゃんはどうなっちゃうんだろう?」
「……」
「ソラを失ったら、キラちゃん、きっと壊れちゃうよ?」
──それでもいいの?
──俺はどんなに頑張ってもソラの代わりになれないの?
そんな先輩の声が、どこか遠くから聞こえてきた。
だけどあたしは、何も答えられなくて。
前に座っているキラとソラの後ろ姿から目が離せなくて。
それっきり、あたしたちは黙ってしまった。
バスのエンジン音だけが、ずっと、うるさく鳴り響いていた。
先輩が、あたしの方を見て、ため息混じりにそう呟く。
だけどあたしは先輩と目を合わせられなくて。
それでも「今夜」という単語に敏感に反応して、思わずビクッと体を引きつらせてしまった。
「心配しないで、話をするだけだから。……それに、俺だって気持ちを整理する時間が欲しいからね。だから、そのくらいの時間をくれても良いと思うけど、どうかな?」
「……分かりました」
そうして再び、あたしたちは黙って目の前の2人を見つめた。
キラは体をソラの方に向けて、嬉しそうに何かソラに語っている。
それに対して、ソラは前を向いたままで……。
「美夕ちゃんは、いいの?」
「え?」
「キラちゃんから、ソラを奪う覚悟があるの? 親友だって失うことになるかも知れないんだよ?」
「…それは」
あたしは、言葉に詰まってしまった。
耳元で、先輩が「ふぅー」って大きなため息を吐く。
「そんなことになったら、キラちゃんはどうなっちゃうんだろう?」
「……」
「ソラを失ったら、キラちゃん、きっと壊れちゃうよ?」
──それでもいいの?
──俺はどんなに頑張ってもソラの代わりになれないの?
そんな先輩の声が、どこか遠くから聞こえてきた。
だけどあたしは、何も答えられなくて。
前に座っているキラとソラの後ろ姿から目が離せなくて。
それっきり、あたしたちは黙ってしまった。
バスのエンジン音だけが、ずっと、うるさく鳴り響いていた。