ウソ★スキ
「うーん」と少し困ったような表情で頭をかく旦那さん。

その隣では“奥さん”が、双子との久々の再会に嬉しさを隠せずに、こぼれんばかりの笑顔を見せていた。

奥さんはエプロン姿がとても似合う美人だった。

少しふっくらしているように見えるのは、細身の旦那さんの隣に立っているからかな……。


そんな奥さんに見とれていたあたしの顔を覗き込むように、奥さんがあたしに声をかけてくれる。

「キラちゃんのお友達ね? いらっしゃい」

奥さんと目があったあたしは、慌てて深く大きく頭を下げた。

「はいっ、お世話になります!」

「いえいえ、お世話なんて何も。残念だけど、今回私達の出番は食事の支度だけなのよ」

「だって私たちはお客さんじゃないもの。奥さんに迷惑かけられないでしょ?」

「もう、キラちゃんったら。遠慮なんかしなくていいのに!」

奥さんは、残念そうにため息をついた。
< 310 / 667 >

この作品をシェア

pagetop