ウソ★スキ
「まあまあ、細かいことはいいじゃないか。それよりみなさん疲れたでしょう? どうぞ、中へ」

旦那さんに促されてペンションの中へ入るあたしたち。

ようやく、今日の長い旅が終わったんだと思うと、ほんの少しだけ足取りも軽くなった。



「うわぁ……広ーい!」


ペンションに一歩足を踏み入れたところで、思わずそう言ったのはあたし。

だって、この玄関、あたしの部屋が余裕で入っちゃいそうなくらい広いんだもん。

「玄関だけよ、見栄張ってるのは。うちなんて、ここらへんのペンションじゃ小さな方なんだから」

キラは笑ってそう言うと、あたしたちを中へ案内してくれた。


真っ白な壁に合わせるように白で統一された家具に、

お洒落な調度品の数々。

室内には新築の建物のような木材のかおりが広がっていた。


築10年以上は経っているはずなのにまるで年季を感じないのは、それだけ管理人さんがしっかり手入れをしているっていうことなんだろう。

< 311 / 667 >

この作品をシェア

pagetop