ウソ★スキ
キラはすぐには反応しなかった。


だけど。

「ねえ、キラ!?」

声を荒げてもう一度あたしがそう言うと、



「──何が聞きたいの?」


キラはシンクに流れる水を見つめたまま、あたしの手からお皿を奪い取った。


「ソラから聞いたよ。さっき、バスを待っている間に2人で話をしたんでしょ?」




キラの声は今まで一度も聞いたことがないくらい低くて、冷たくて。

その唇は小さく震えていた。


キラは間違いなく苛ついていた。
ううん……苛ついているっていうより、静かに、怒っていた。


「美夕は何が知りたい? 昨日の電話のこと? 苑ちゃんのこと?」 


あたしの前に手を差し出すキラ。

あたしは黙って手元にあったお皿を一枚手にすると、それをキラに渡した。


「それとも──どうして美夕に『ソラが好き』なんて言わせたのか、っていうことかな?」


そこでようやくあたしの目を見たキラは、背筋がゾクっとするほど冷たい笑顔を浮かべていた。



「私、美夕の本当の気持ち、知ってたんだ」






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